2009年5月18日月曜日

「自分経営」と「マザーハウス」

どもお久しぶりです。NOMAD共同代表の佐藤です!
ちょっと長くなりましたが、読んでもらえるとうれしいです!

5月13日、先週の水曜日のことを書きます。

午前中は「自分経営ゼミ」の友成真一教授にNOMADの一環で、インタビューへいきました。(NOMAVIEW)

午後は「社会起業家」マザーハウス社長の山口絵理子さんの講演を聞きに行きました。

「自分経営ゼミ」は早稲田大学の人気授業で、学生が自分の夢をみんなの前で語り、それに他の学生は問いかけ、できる限りの協力をしようと考え、伝える。普通の大学の生徒が受け身の授業とは一味違う、学生が主役の授業です。その授業の主催者である友成教授は25年間官僚として活躍したのち「役人が世界を変えることはできない」、「そろそろ現場にでよう」と決意し、、早稲田大学で教授になり、「地域経営」「自分経営」等のプロジェクトを立ち上げました。

「マザーハウス」は、開発援助でも、NGOでも、ボランティアでも、フェアトレードでもなく、ビジネスという手段によって途上国の持続可能な発展をサポートしていこうという会社で、今は主にbagを途上国で現地生産し、日本で販売しています。その理念と新たなビジネスモデルによって、最近メディアから注目されているベンチャー企業です。

友成教授のインタビューの中で一番興味深かったお話が、「マクロな罠」と「原因と結果の法則」の話でした。

たとえば、サッカーの試合に負けたとする。これは結果ですね。負けて悔しいから、次は勝たなくちゃいけない、絶対に負けられないと思う。でもね「負けた」というのも「次は勝つ」というのも両方ともマクロな結果の世界の話なんですよね。もちろん勝利を目指して頑張ろう!という気持ち、心のベクトルを持つことは大事なんだよ。でも結果にとらわれてはいけない。「なぜ負けたのか」という原因を考えて、今度は勝つための原因つくりをより具体的に、よりミクロに行動してつくりこんでいくことが重要なんだね。

自分経営のプロセスを自分なりに解釈して、

はじめはマクロなものでいいからある目標に対してベクトルをもつこと。
このときに、目標の達成というものは結果としてついてくるもので、達成するためには原因が必要であることを自覚する。
そして、よりミクロに具体的に行動して原因を作りこんでいくこと。
特定の領域でミクロな問題設定をしてそれを解決しようとつきつめていくと、だんだんマクロな結果がついてきて本質が見えてくるようになる。

としてみます。

そこで、このプロセスをマザーハウスを経営してきた山口さんの例で置き換えてみると、

まず、山口さんは大学在学中に「途上国の貧困を解決したい」というマクロな目標、ベクトルを持つようになりました。
そこで開発援助を行っている国際機関のインターンに出願します。
しかし、援助の現場を全く知らずに、快適なオフィスで働く日々に次第に違和感を覚えるようになります。
「現場を知らなければ、貧困を解決することはできない」

そう思った山口さんは単身バングラディシュに赴き、短い滞在期間中に現地の大学院入学を決めます。
バングラディシュでのストライキや大洪水など不安な日々をすごしながらも新たな目標を見つけます。
「もっと健全で、見える形で、持続的な新しい協力の仕方があれば」

そんなことを考えながら、市場を歩いていた時にジュートという素材でできたバッグを見つけて、より具体的な目標を抱き始めます。

「これだ!ジュートを素材に、最高のバッグをつくり日本で販売しよう」

善意や自己犠牲の上に成り立つ「援助や寄付」という形ではなく、経済の基盤をしっかりと持った持続的な協力の仕方。それは、途上国にある資源を使って、先進国でも十分通用する商品をつくり輸出を促進することだ、と山口なりの答えにたどりつきました。

この活動ならば、現地で働く人々の頑張りがビジネスを通じて得た正当な利益という形になって報われて、そして日本のお客さんにはかわいいバッグを届けることができる。

先進国で売ることができる商品を誇りをもって送りだそう、そう決意しました。

山口さんはバッグをつくると決めてからの行動力も人並みではありませんでした。自分が求める条件にあった生産者を探すところからはじめて、帰国までにアルバイトで貯めたお金でバッグを160個生産し、日本では利益と結果を最優先するバイヤーとのやりとりに苦しみながらも在庫の全てを2ヵ月で売り切ります。

そこからも、バッグつくりの難しさを痛感しバック職人の下で修業したり現地スタッフの裏切りから、自社工場の立ち上げを決意します。
絶対的に信頼できる生産体制の確立。それがマザーハウスにとって最大の課題でした。
自社工場の体制を整え生産数が拡大すると、次第に卸先も拡大し10店舗にまで広がっていました。しかし、販売数の増加に伴って顧客とのコミュニケーションがにとりにくくなっているという新たな問題が生まれました。そこでよりお客様に満足してもらうために、その声をより現地の生産者に届くように、直営店を持つことを決めます。
「そうだ、お店を持とう。自分たちのお店を」

そして見事、入谷に第一号店を山口さん自らの誕生日にオープンし、現在では直営店は5店舗まで拡大しています。
またバングラディシュだけでなく、ネパールでも現地の生産を始めるようです。


「途上国の貧困を解決したい」というマクロな目標をもつだけで終わることなく、実際に行動することによって目標に近づくための、ミクロな問題設定(「これだ!ジュートを素材に、最高のバッグをつくり日本で販売しよう」「そうだ、お店を持とう。自分たちのお店を」)をしてその解決に全力で取り組んでいく。それが結果的に、少しづつ途上国の問題解決につながっていく。

まさに友成教授が言っていた自分経営の一つの理想形だと思います。

山口さんは、ベンチャー企業の経営者であると同時に自分経営の達人である、そのように感じました。

また、13日の講演で質疑応答の時間に、こんな質問をした学生がいました。

「マザーハウスは人に支えられているというお話でしたが、人材を選ぶ時にはどのような基準でお考えになるのですか?」

それに対する山口さんの答えは、

「その人の人間力をみます。人間力とはどれだけ人を巻き込めるか、ということです。だいたい一目見ればわかりますね。」

でした。

そう答える山口さん自身の人間力は相当なものだと思います。よく言う話かもしれませんが、登場した瞬間から横にいた教授達とはまったく違うオーラ、輝きを感じました。「死」すら覚悟するという途上国の現場で働いている緊張感が空気を伝わって感じられました。人となりだけでこの人はなにかおもしろいぞ、と思わせる、話をしている間に共感してしまう、気づいたら自分にはどんな協力ができるかを考えている、この人の会社の商品はきっと素晴らしいんだ、と思わせる力が山口さんにはありました。
ベンチャー起業家に必要なリーダーシップとは、人を巻き込む力と言えるかもしれない。
そう思いました。

最後にあの日、自分が一番強く感じたことを書きます。それは

「行動は力なり」

ということでした。

よく「行動する力」という言い方をしますね。それとはちょっとイメージが違います。「行動力」を使ってなにかをするというのではなく、まず行動をすることで見えてくるもの、理解できること、解決することが意外と多く、行動そのものが自らの、組織の力になってくれるのだと思いました。

自分のActionがちょっと先の自分のPowerになる。
そう考えると、迷っていたことでもやってみようかな、という元気や勇気が湧いてきませんか??

長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました!!

明日からもActionを続けるために、もう寝ます笑

それでは!ありがとうございました!

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